竜と水面に光る街

    

日常を離れたくて、礼一はオーストラリアのブリズベンを訪れた。

ただのんびりと過ごしたいという願いとは裏腹に
不思議なイルカに懐かれたがために
ファンタジックなひと騒動へと巻き込まれていく。

それはやがて
ルームメイトや同僚を巻き込みながら
思いも寄らない運命へと礼一を導いていくのだった。

運命を諦観していた男と、
運命を知らずにいた青年が
出会うことで幕を開ける、
現代ファンタジー。


登場人物

レーイチ
レーイチ(敷波 礼一)
オーストラリアにやってきた
ばかりの日本人。
エド
エド
(エドヴァルド・アウストレーム)
黒髪の男。竜が見える。
クリス
クリス
(クリストファー・ネルソン)
礼一のルームメイト。
ハオラン
ハオラン
(李浩然 /ウィリアム・リー)
礼一の同僚。理工学部大学院生。
ターニャ
ターニャ
(ターニャ・ヴァルカシュ)
ハーブ販売店勤務。
ダニエル
ダニエル
(ダニエル・S・キング)
礼一たちの家のハウスオーナー。

プロローグ

 エドことエドヴァルド・アウストレームは竜が見える。

 それは何かの比喩ではなく──例えば学校帰りの道のど真ん中であったり、何気なく足を伸ばした山の頂だったり、ふと見上げた空であったり——そんな日常の中に、彼らは文字通り、ふいに彼の前に姿を現すのだ。

 エドの知る限り、竜は深い知性と穏やかさを持ちながらも、非常に茶目っ気がある。
 彼らは決まって、思いもよらない場面で姿を現しては、度肝を抜かれて立ち尽くす彼を見て、実に嬉しそうに飛び去っていくのだった。

 彼らが見えるのが自分だけだと、いつしか理解するようになり、心の中にその優しい秘密を抱えてエドは成長していく。

 それは時に彼をワクワクさせ、時に彼を思い悩ませもし、そして時に心の支えとなった。

 諦めにも似た気持ちで現実を受け入れてからは、たとえその姿が見えない時にでも、吹き抜ける一陣の風や、木々のざわめき、波の唸り声にすら、彼らの存在を感じることができた。

 そんな日常から受けた影響のひとつなのだろう。本や映画は好きでも、一貫してファンタジーの類いは嫌いだった。

 そこではたいてい、邪悪で知性のない、倒すべき敵(かたき)役として竜は描かれていたから。

 もしくは、使役し、利用する道具として。

 彼らは自由であるべきだった。彼らは自由ではなかった。

 だからこそエド自身もまた、自由ではなかった。


つづきは以下よりお読みいただけます。

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Fan Art

みどふく様(@hoshitofukurou)より
素敵なイラストをいただきました

主要キャラ6人勢揃い!
『オーストラリアの船乗り」をわたしよりよほど正確に描いてくれてます
三頭身になのにハンサムに書いてもらったクリス。パーソナルカラースプリングの設定をご存知だったのかな??
目の色これです!小生意気な表情もそのまんまなハオラン
紅一点のターニャです!真っ直ぐで心がきれいなのが伝わってくるイラストで嬉しい
まつげバサバサ&きらきらも再現してくださっています!かなりイメージ通りなダニエル
これぞターコイズブルーな瞳!美しい目の色です…
ファンアート9

イラスト・設定資料集

クリスへの質問受付⭐︎
番外編四コマ
ハオランを引き取った頃のダニエル
礼一お礼絵
クリスお礼絵
エドのお礼絵
ハオランお礼絵
番外編四コマ
番外編四コマ

ブリズベンの景色

ブリズベン 近代的な建物
歴史的建造物
川に囲まれた街
礼一が降り立った駅
モデルにした鳥
ティナと待ち合わせしたシティホール
船の乗船場
ブリズベンの景色8
船の操縦席
ブリズベンの景色11
クリスの店があるニューファーム
ブリズベンの景色13
夜のブリズベン
ブリズベンの景色15
ブリズベンの景色16
ブリズベンの景色17
ブリズベンの景色18
ブリズベンの景色19
ブリズベンの景色20
ブリズベンの景色21
ブリズベン
ブリズベンの景色22