秋月ひかる

福岡出身。合気道が趣味。政治学修士。
神戸、東京、オーストラリア、名古屋を住み歩く。
オーストラリアでの不思議な体験をもとに「竜と水面に光る街」を執筆。

執筆への思い

　わたしは満員電車が大の苦手です。ところが、ある小説を読みながら電車に乗った日だけは、少しも苦しむことなく電車を降りていました。呆然としながら、きらきらして見える大手町駅で突っ立っていた自分。
　今思えば、それが自分も小説を書こうと思った原点でした。
　怒りに呑まれそうな瞬間や、終わりがないように思える夜にでも、
ただ一つのフレーズが心を整えてくれることがある。
　わたしにとってその本が、つらい満員電車から守ってくれたお守りであったように。
　誰かにとってわたしの物語が人生を少しでも明るく照らす一助であれたら。物語を読み終えた時、その方の目に映る世界がいつもより少しでも明るく見えたら──そんな願いを胸に執筆しています。